“くるまからモビリティへ”の技術展 2022 ONLINE / KuruMobi Tech Expo 2022 Online - from Cars to Mobility

Magazineマガジン

IoT

日本ガイシ、小型薄型で大容量の二次電池「EnerCera®」の車載用途拡大をアピール

2022/01/31 日本ガイシ株式会社

日本ガイシ、小型薄型で大容量の二次電池「EnerCera®」の車載用途拡大をアピール

日本ガイシは「“くるまからモビリティへ”の技術展」(くるモビ展)に出展し、同社のセラミックス技術を活用した二次電池「EnerCera®(エナセラ)」シリーズの自動車業界での応用について紹介する。
特にコイン型の「EnerCera Coin」で105℃の作動温度に対応した最新ラインアップの紹介を通じて、車載機器などの電源に求められる幅広い用途に対応できることをアピールする。

日本ガイシは、1919年創業と100年を超える歴史を持つ企業で、セラミックの調製・成形の技術を蓄積してきた。現在では、セラミック技術を生かして、自動車用のフィルターや半導体製造装置、電子部品など幅広い製品を提供している。くるモビ展には研究開発本部と電子部品などを手掛けるエレクトロニクス事業本部のADC事業部が出展し、今後のデジタル社会を支える要素の1つとなるセラミックス二次電池について来場者に理解を深めてもらう狙いだ。

独自開発のセラミックス二次電池「EnerCera」

今回出展するEnerCeraは、電極に日本ガイシ独自の結晶配向セラミックス板を使用したリチウムイオン二次電池である。キャパシタとリチウムイオン電池の長所を併せ持つ二次電池で、EnerCeraの強みとして(1)高耐熱、信頼性、(2)大容量、(3)高出力――が挙げられる。日本ガイシの担当者は、「こうした特徴を持つEnerCeraは、車載機器の電源などへの活用で効果が得られる」と説明する。

EnerCeraには厚さ0.45ミリメートルと超薄型で曲げ耐性のある薄型デバイス向け「EnerCera Pouch」と、コイン形で厚さ1~2ミリメートルの回路基板実装向け「EnerCera Coin」の2つの製品ラインアップがあり、それぞれに適したユースケースへの応用が期待される。このうちEnerCera Coinはリフローハンダによる実装が可能であり、作動温度を105℃に引き上げた製品を開発して過酷な車載環境への適応を高めている。

車載用途で想定する3つのソリューション

EnerCeraの車載ソリューションとして、日本ガイシでは主に3つの分野での利用を想定している。1つ目が「タイヤセンサー」への利用。タイヤ内に実装した空気圧などのセンサーに電源を供給するための電源として、EnerCeraの利用を推奨する。「タイヤ内は実装が難しく、多機能化を目指すと一次電池では容量や電流が不足する。これまでは小型薄型で耐熱性に優れる二次電池がなかったが、EnerCera Coinを使うことでタイヤ内部への実装が可能になる」(担当者)。さらに大容量のデータ通信を支えるだけの電源供給が可能で、発電給電と併せたトータルソリューションも提案できるという。すでに一部のタイヤメーカーと検討を始めている。

2つ目が、内装・HMI(ヒューマンマシンインタフェース)用の分散電源への応用。高いデザイン性や操作性などを重視した内装・HMI関連で、樹脂構造体に電子部品を埋め込むインモールドエレクトロニクスを導入する際に、EnerCeraを利用することで二次電池を含めて電子部品を埋め込むことも可能になる。

3つ目が車内分散電源への応用。車室内にはセンサーやインジケーターが多く利用されるようになっているが、ワイヤーハーネスを敷設すると重量増から燃費に影響が出てしまう。二次電池のEnerCeraとワイヤレス電力伝送技術を組み合わせることで電池交換不要で、ハーネスレスのデザインが可能になる。

小型薄型に加えて大容量、高耐熱を実現する技術

小型薄型でありながら、大容量で、耐熱性も高めたEnerCeraには、日本ガイシの2つの独自技術がキーテクノロジーとして組み込まれている。1つが「結晶配向セラミックス正極板」の利用、もう1つが「半固体電池」としての構造を取ることである。

一般的なリチウムイオン電池は、「粉末塗工型電極」と呼ぶ電極を用いる。電極活物質の粉末を導電助剤とともに有機バインダーで結着した構造で、有機バインダーや導電助剤を利用する分だけエネルギー密度の向上に限界がある。また高温下では有機バインダーが電解液と反応して粘着力が低下するため、耐熱性を高められない。一方で「EnerCeraでは、正極活物質として結晶の向きを揃えて焼結した結晶配向セラミックス正極板を用いる。結晶の向きが揃っているためリチウムイオンや電子が高速伝導できること、また有機バインダーなどを含まないことから、耐熱性やエネルギー密度を高められる」(担当者)。

半固体電池としての特性も、EnerCeraの性質を決める上で重要な役割を果たす。電解液を多く必要とする一般的なリチウムイオン電池と異なり、EnerCeraはセラミック製の積層電池部材にごく少量の電解液を染み込ませた構成を取る。熱に強い特性を得られるほか、半固体電池なので電解液が少ないことから安全性の向上にも寄与している。

車載利用に対応できる耐熱性のある二次電池の特徴を周知

こうした特徴を持つEnerCeraシリーズの二次電池は、これまでにも幅広くIoTなどの用途で利用が進んできた。一方で、車載ソリューションを想定すると、作動温度が従来製品は85℃までということで、用途に制約が生じていた。2021年7月に作動温度を105℃に引き上げた製品をラインアップしたことで、AEC-Q200(Automotive Electronics Council(車載電子部品評議会)が制定する自動車向け受動部品を対象とした試験規格)のグレード2に対応できるようになり、車載での検討に乗るだけの性能を確保できた。

同社の担当者は、「AEC-Q200のグレード2に対応することで、車載用途でも改めて検討してもらえるようになってきた。今後は、さらにグレード1に相当する作動温度125℃への対応を可能にする製品開発を進めている」と語る。

耐熱性が高い二次電池としてEnerCeraが利用できるようになることで、まずは車載関係のソリューションへの応用を広げたい考えで、くるモビ展ではこうした特徴がある二次電池を日本ガイシが提供していることの認知度を高めたいという。同社ではさらに産業分野やIoTなど、耐熱性を要求するような二次電池での用途の広がりにも期待している。