“くるまからモビリティへ”の技術展 ONLINE / KuruMobi Tech Expo Online - from Cars to Mobility

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NOK、熱マネジメントやシール製品でeモビリティ時代のニーズに応える

2022/01/31 NOK株式会社

NOK、熱マネジメントやシール製品でeモビリティ時代のニーズに応える

NOKは「“くるまからモビリティへ”の技術展」(くるモビ展)に出展し、eモビリティ分野で求められる技術的なニーズである「放熱」「腐食」「電食」などに対応する部品を紹介する。熱マネジメント、熱伝導部材の「Tran-Qシリーズ」では、粘土状の「Tran-Qクレイ」を紹介する。またその他の分野では正逆回転に対応できる「モーター用高速回転シール」や、ベアリングの電食を抑制する「導電ラバーリング」、アルミ部品の対塩水腐食性を高める「ラステクター」についても説明を行う。

NOKは1939年創業の総合部品メーカーで、自動車はもちろん、スマートフォン、建設機械、ロボット、航空機、ロケットなど幅広い分野で使用される部品を手掛ける。世の中の“見えないけれど身近なところで活躍している”部品を提供している。自動車業界ではオイルシールやOリング、メカニカルシール、フレキシブルプリント基板(FPC)などで知名度が高い。一方で「今後はeモビリティ関連で従来とは異なる業界からの参入が加速することを見越し、EV化や電動化にフォーカスを当てて出展する」と同社の担当者は出展意図を説明する。

熱マネジメントの自由度を高める粘土状熱伝導部材

EV化、電動化の流れの中で、EVのバッテリーやモーター、インバーターなど熱を発する電子部品が数多く使われるようになり、車載の基板やカメラなども含めて、熱マネジメントの重要度が一層高まっている。NOKは熱伝導部材「Tran-Qシリーズ」の中でも粘土状で自在に形状を変化できる「Tran-Qクレイ」を出展し、EV化の熱マネジメント問題の解決策として紹介する。同社の担当者は、「Tran-Qクレイは変形自由度が高いため、熱源と放熱先のハウジングやヒートシンクなどの間で複雑な形に追随して熱伝導を助けることができる。また、ディスペンサーで射出して塗布できるメリットがある」と説明する。

粘土状であるため、流れない特徴も持つ。グリースやコンパウンド状の熱伝導部材だと流れてしまうような縦置きの箇所でも、Tran-Qクレイならば流れずに熱を逃がすことができる。「複数の設計担当者から、縦に設置するような箇所でも垂れずに熱伝導部材として使用できるとの意見をもらっている。熱伝導部材としては後発のTran-Qシリーズだが、クレイの強みの1つとしてアピールしている」(担当者)。

また、既存の熱伝導シートに対する利点もあるという。「熱伝導シートは、部品の細かい凹凸には追随しきれない。熱伝導シートを押し付けて凹凸に追随させようとすると、反力で部品が破損する恐れがある。粘土状のクレイなら低い反力で部品に追随でき、相手部品を破損させにくい」(担当者)点だ。さらに、「市場には、液体が硬化するタイプの熱伝導部材もあるが、硬化までのキュアタイムがあり、工程の流れを止めてしまうが、Tran-Qクレイは、硬化の必要がなく工程改善も提案できる。」と担当者は説明する。

想定する使用部位としては、車載の基板全般、車載カメラ、EVのバッテリー、モーター、インバーターなどがメイン。また従来型の車種にもあるヘッドライトでも放熱の需要があり、Tran-Qクレイの用途として有望視している。追随しやすい粘土状の熱伝導部材ということで、自動車業界以外の熱マネジメントのニーズにも対応できると見込む。

モーター、インバーター関連のニーズに応える

EVや電動車で不可欠なモーター、インバーターに関連するシール製品の紹介も行う。その1つが「モーター用高速回転シール」。モーターはeモビリティでは不可欠な部品であり、小型化が求められる。モーターを小型化した上で、前進のための高速回転だけでなく、eモビリティではバックのためのモーターの逆回転が必要になる。従来のオイルシールは正回転に対しては高いシール性能を持っていても、逆回転のシール性能は求められていなかった。NOKのモーター用高速回転シールは、NFネジの形状最適化により高速回転環境下で逆回転時のシール性を高めた。また、独自の低フリクションブランド「Le-μ's(レミューズ)」のコーティングによって、30%のフリクション低減と、しゅう動発熱の低減を実現した。「eモビリティで求められる逆回転と低電費のニーズを満たせるように開発した」と担当者は説明する。

「導電ラバーリング」も、モーター関連のソリューションとして注目の部品だ。モーターは駆動軸が帯電してしまうと、電磁波ノイズや軸受部の電食が発生してしまう。従来は、帯電対策には、アースブラシやナックルアースといった追加部品で対応していたが、重量やスペースで課題があった。NOKでは、オイルシールが付いている部位に採用できる導電ラバーリングを提供し、この課題を解決する。「他の部品や構造を持たせずに、シールのスペースを使って導電性を確保し、帯電を避ける。オイルシールの機能の有無で2つのバージョンを用意し、求める機能によって選択できる」(担当者)。

もう1つの出展製品が「RUSTECTOR(ラステクター)」で、錆に対応するアイテムになる。電動化が進むと、インバーターなどのアルミの筐体が増え、塩水による腐食が起きるとユニットの中に塩水が入って機能が損なわれてしまう。RUSTECTORには、ラバーのガスケット、ソフトメタルのガスケット、耐水性を高めたグリースの3つの部品を用意し、これらを組み合わせて採用することで腐食の進行を遅らせることができる。

eモビリティが求める機能に付加価値のある部品を提供

くるモビへの出展に当たって、NOKは「電動化やeモビリティ化の進展で、自動車業界とは遠かった業界の企業の参入が続いている。Tran-QなどNOKが提供する要素技術が、新規参入メーカーの機能開発を助けるアイテムになればと考えている」(担当者)と語る。

シールなどの部品メーカーとして80年の歴史を持ち、シール技術を培ってきたNOK。「これまでコンベンショナルな車の部品を作ってきたが、eモビリティ化により導電ラバーリングなど、今までの製品に付加的な機能を付けたものや複合機能を持つ製品が必要になっている。これまでになかった製品群の開発を進めることで、顧客のニーズに応え、機能面からeモビリティの進展に貢献していきたい」(担当者)という意気込みを、くるモビ展の出展から感じ取ってもらえるだろう。